飲み読み書き

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星ヶ丘ワンダーランド

(公式HPより)

2015年公開の『星ヶ丘ワンダーランド』

主演は中村倫也(短髪で眼差しがかっこいい)で、佐々木希木村佳乃市原隼人新井浩文、杏、松重豊です。男性陣が濃い系でがっつり揃えてきてて最高です。


まずはネタバレしないようにあらすじをかきます。

20年前、温人(中村倫也)とその兄の哲人(新井浩文)は、父母(松重豊木村佳乃)で星ヶ丘ワンダーランドに遊びに行く。その帰り道、父と母の仲が決裂し、家族で乗っていた車から母は降りてしまう。雪の中去って行く母を追いかけた温人は再会の約束として母の赤い手袋を片方預かった。

温人は星ヶ丘ワンダーランドの麓にある星ヶ丘駅の駅員として働いている。遊園地は老朽期間によりほぼ閉園状態であるため仕事は少なく、落し物の持ち主の顔ってを想像して描くのが彼の日課となっていた。

そんな日常に突然起こったのが母の死だった。しかも彼女が死んだのは星ヶ丘ワンダーランドの遊園地の観覧車の下であった。彼女の新しい家族の証言により、鬱病によって観覧車から飛び降りたと警察は断定する。しかし温人はどうしても自殺だと考えられなかった。なぜなら高所恐怖症だった彼女が観覧車の上まで行けるはずがないからだ。この事件をきっかけに、温人は母の新しい家族や母自身についてを調べ始める。


ここからは私の感想です

この話の中でキーワードとなるのが観覧車(というか遊園地)と雪だと思いました。お話は観覧車を中心に動いていきます。どんな時、どんな人の視線でも観覧車を眺めるシーンがあり、それぞれの思いがその目にこめられているように思われました。

 次に雪というキーワードなのですが、これは昔のことや死など、とてもアバウトではありますがもう帰ってはこないもの、不可逆なものに対する思念を表しているように思えました。温人が母を追った時の一面の雪は重々しくそして霞んでしまいそうな母の思い出を表しているのではないでしょうか。次いで印象的だったのが母の遺体が安置されている病院前の車内のシーンです。『ここに来るの、親父が死んだ時以来だな』という会話のあと、車の中なのに雪が降り始めます。母の死に直面した温人の気持ちが表されているような気がします。

温人は忘れ物への思いがとても強いです。再会の約束の手袋のことが忘れられないからかもしれません。持ち主に渡った忘れ物が道端に捨てられていた時、温人は遣る瀬無い気持ちになり、全てを投げ出したくなって自分勝手な行動にでます。約束をしたのにはたされなかった、持ち主に渡せたのに結局意味がなかった、など報われないという気持ちが強くなったのでしょうか。


話は最後まで飛びますが、母の死因が転倒死だったことは温人にとって衝撃的なもので、昔のことを強く思い出させました。最後のシーンで佐々木希ちゃん(もう役名がわからない)と歩くところ、幼少の二人に戻っていて温人の中にあったわだかまり、もやもやがなくなったような感じがしました。

頭をとても使う映画でした。私の頭が悪いのが原因だと思います。でも伏線とか情景描写がとても美しくてあと二回はみれます。ノスタルジックでちょっと重い冬のお話、本当に見て欲しいです。